国会質問


日本共産党の堀川あきこ議員は16日の衆院国土交通委員会で、4月2日の同委での北陸新幹線についての国交省の五十嵐徹人鉄道局長の答弁の誤りを指摘し、答弁の撤回と謝罪を求めました。
北陸新幹線は京都市の地下を通す計画で、過去には地下鉄東西線工事で地下水位が下がり、井戸の被害への補償が行われていたことから、市や住民から懸念の声が上がっています。
しかし国交省は、井戸の被害への補償件数はゼロだったと強弁してきました。実際は、補償件数がゼロだったのは1部の区間で、全体では290件の補償が行われていたと共産党京都市議団が告発していました。
4月2日の同委で堀川氏が井戸への補償は確認したのかとただすと、五十嵐局長は「京都市から協力が得られていない」として確認ができないと答弁していました。
ところが堀川氏のその後の調べで1月17日に鉄道・運輸機構が京都市から井戸への補償に関する資料の提供を受けていたことが発覚。堀川氏は「答弁は誤りであり、撤回して京都市に謝罪すべきだ」と迫りました。五十嵐氏は「その部分に関しては撤回する。謝罪は審議官が行った」と開き直りました。中野洋昌国交相は「今後このようなことがないようにしたい」と答えました。
堀川氏は「こんなずさんなやり方では北陸新幹線の計画に不信を抱いている方々の不安は払拭されない」と厳しく批判しました。
(しんぶん赤旗2025年5月17日付掲載)より抜粋
資料
議事録
堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。今日は、北陸新幹線の延伸計画について質問をしたいと思います。
四月の二日に、委員会でこの質問をさせていただきました。懸念となっている地下水への影響について、この間、鉄道・運輸機構、国交省は、京都市の地下鉄東西線の地下工事での地下水位低下についての分析を示した上で、地下水に影響がないというふうな根拠にしています。
そこで私は、本当にそうなのかということで、地下鉄東西線の井戸の補償について尋ねました。資料の一の二を、二ページ目のところを見ていただきたいんですけれども、これは四月二日の会議録未定稿です。マーカーで引いてあるEの部分ですね。私が、二条駅よりも東の路線工事では相当数の井戸の補償があったということ、これは当然説明されるべきだと思うんですが、この井戸の補償について国交省は確認していたのでしょうか、確認していたのであれば、なぜその記述がここにないのでしょうかというふうに聞いています。
これに対して、五十嵐鉄道局長は、次のマーカーのところ、Fの部分なんですけれども、御指摘がありました井戸の補償件数につきましては、報道では承知しておりますが、報道が出た後も京都市交の方に確認を求めておりますが、現時点で京都市交からの御協力が得られていないというふうな答弁をされました。これはまるで京都市が非協力的だと言わんばかりの口ぶりだというふうに思うんですけれども、続いて、資料の二を御覧いただきたいです。
これは、この質問の後日、国交省からのレクでいただいた資料です。
二ポツの、「井戸の補償実績に関する資料について」の下から二つ目のところ、下線を引いてあるんですけれども、「二〇二五年一月十七日、京都市より機構北陸局へ、メールで資料を提供」というふうに書いてあります。つまり、一月十七日に、京都市は鉄道・運輸機構の北陸局に資料を提出していたということなんですね。
この四月二日の局長の答弁は明らかに誤りです。この答弁を撤回して、京都市に謝罪すべきではないでしょうか。局長、お願いします。
五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。御指摘の井戸の補償実績に関しては、鉄道局におきまして、昨年八月の報道を受けまして、鉄道・運輸機構を通じて、報道に記載されていた、京都市が京都市議に提出した資料の提供を京都市に依頼をいたしましたが、京都市が京都市議に提出した資料そのものを提供することは難しいとの連絡を受けておりました。また、鉄道局におきまして、今年一月の報道を受けて、再度、鉄道・運輸機構を通じて京都市へ情報提供を依頼しましたが、鉄道局は関係資料を受領するに至りませんでした。
したがいまして、先日、四月二日の答弁時点までにおきましては、鉄道局は現に井戸の補償実績に関する資料を持ち合わせておりませんでしたので、本日議員が資料としてお示しされている議事速報、Fのとおり答弁をしたというところでございます。
議員からも御紹介ありましたけれども、この答弁の翌日以降も、本件につきまして、議員及び議員事務所と鉄道局で何度もやり取りをさせていただいておるところでございます。
その中で、当該資料について改めて事実関係を確認したところ、京都市から鉄道・運輸機構北陸局に対して本年一月十七日に情報提供され、同日に鉄道・運輸機構北陸局から鉄道・運輸機構本社へ資料が提供されていたことが分かりました。
また、鉄道・運輸機構本社の担当者から鉄道・運輸機構北陸局へ、一月十七日に受領した資料について、提供資料は京都市議へ提出されたものなのかとの確認を行い、一月二十日に鉄道・運輸機構北陸局より鉄道・運輸機構本社へ、提供資料は京都市議へ提出されたものとの回答がなされたと聞いております。
京都市から鉄道・運輸機構に提出された資料については、数十ページに及ぶ原データでございましたこともありまして、鉄道・運輸機構の本社担当者は、依頼の当初から、報道で掲出された集計表のような資料をイメージしておりましたので……
井上委員長 答弁は端的にお願いいたします。
五十嵐政府参考人 はい。このようなやり取りを経た後も、引き続き、井戸の補償実績を入手できていなかったものと誤認していたというふうに聞いております。
したがいまして、当該資料につきましては、京都市から鉄道・運輸機構に対して情報提供されておりましたが、鉄道・運輸機構から鉄道局に対して、答弁の時点で情報提供はされていなかったということが確認をされました。四月二日の答弁当時においては……(発言する者あり)
井上委員長 端的に答弁をお願いします。
五十嵐政府参考人 現時点におきまして、京都市から鉄道・運輸機構に対しては当該資料が提供されていることが確認をされましたので、先日の答弁のうち、現時点で京都市交からの御協力が得られていないという部分については、正確ではなかったと認識をしております。以上でございます。
堀川委員 最後の部分だけを答えていただけたらよかったんです。十分しかないんです。御協力をお願いします。
誤りだったというふうなことを認めるのであれば、これは撤回すべきですし、京都市に謝罪するべきだというふうに思うんですね。長々と経過を説明していただきましたけれども、まるで仕方がないような答弁なんですよね。
結局は、そちらの鉄道・運輸機構と国交省のところでの連絡共有体制に不備があったというふうなことなんですけれども、それはそちらの不手際であって、責任ですよね。京都市には何も関係ないことなんです。今回、京都市はちゃんと運輸機構の求めに応じて協力はされていたということなんです。
これはきちっと撤回するべきであり、京都市に謝罪すべきである、これをやってください、局長、もう一度答弁をお願いします。
五十嵐政府参考人 先ほど御答弁したとおりの事実でございましたので、京都市からの協力は得られていたという事実でございますので、議事録、お示しいただいている議事速報に載っております、京都市交の協力が得られなかったという部分に関しましては、撤回をいたします。
それから、京都市へ謝罪するべきではないかというお尋ねでございますが、本件については、そういった事実を確認した以降でございますけれども、四月の下旬に鉄道局の審議官が、私の部署でございますけれども、京都市役所を訪問し、御迷惑をおかけし申し訳ないと謝罪をしているところでございます。以上でございます。
堀川委員 では、謝罪したというふうに答弁していただければよかったのではないでしょうか。
もう一つ指摘したいのは、この井戸の補償件数の確認だけではないんです。
地下鉄の東西線工事の地下水への影響に関する報告書についても、必要な確認をされていなかったということが明らかになっているんですね。
資料の一の一を御覧いただきたいんですけれども、時間の関係で紹介はちょっと省略はしますけれども、四月二日の議事録の未定稿です。
ここで、鉄道・運輸機構が入手しているのは、この報告書の一部だけであって、全部ではないから提供できないという趣旨の答弁がありました。資料二に、この資料についても、四月十七日、鉄道・運輸機構において、保有している資料が報告書全体であることを確認したというふうになっているんですね。
これは何で四月二日までに確認しなかったのか、お聞きしたいんですが、いかがでしょうか。
五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。事実関係として、長くならないようにいたしたいと思いますけれども。
先生のこのお示しされている資料、これは、四月二十二日に私どもから先生の事務所にお出ししたものでございます。
ここにありますように、四月二日の答弁時点までにおいては、機構におきましても、保有している資料が全体か否かという認識がなかったという前提でございましたので、四月二日については、私も、鉄道局はその時点で現に報告書の一部しか持っていないということは事実でございまして、鉄運機構も同様であろうと認識しておりましたので、議事録でお示ししたような答弁をしたところでございます。
これにつきましても、その後の事実として、ここにございますけれども、十七日に、機構が保有しているものが全体であるということが分かりましたので、この部分について、鉄運機構及びと、鉄運機構も一部しか持っていないというふうな答弁を申し上げた私の答弁は正確ではなかったと認識をしております。
堀川委員 余りにもずさんだというふうに指摘をしたいと思います。
最後、大臣にお聞きしたいんですけれども、こんなずさんな確認の在り方で、先日の委員会で局長は不確定な答弁を、誤りだった答弁をしたわけです。こんなこと、許されるのかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
中野国務大臣 事実関係につきましては、先ほど来、鉄道局長から答弁をしたところでございますけれども、鉄道局と鉄道・運輸機構との間での情報共有が徹底されていなかったということによるものと認識をしております。
今後、このようなことがないように、連絡共有体制につきまして、より一層密にしてまいりたいというふうに思います。
堀川委員 地下水の懸念に関しては、京都全体に広がっている、本当に深刻な懸念なんです。一つ一つの対応を京都の方たちが見ています。
こんなずさんなやり方で、北陸新幹線の延伸計画に不信を抱いている方々の不安は絶対に払拭されないということを最後に申し上げまして、質問を終わります。