国会質問


日産自動車のEV(電気自動車)「リーフ」で重要部品のアッパーマウントに水がたまり、サビのためボルトが脱落するトラブルが続発しています(本紙2024年9月29日付既報)。23日の衆院国土交通委員会で、日本共産党の堀川あきこ衆院議員は「国土交通省は日産に調査報告するよう指示を」と求めました。
堀川氏の問いに、同種の不具合情報14件がユーザーから同省に寄せられていると鶴田浩久物流・自動車局長が答弁しました。
日産は、リーフに水がたまる構造を認めながらも「走行することは可能」とリコールに否定的です。堀川氏は、スバルが同種のトラブルで、「ユーザーの不安を解消するため」として17年にリコールしたことを指摘。堀川氏は「不具合情報にもとづいて、リーフが保安基準に適合しているか確認すべきだ」と日産に調査報告を指示するよう求めました。
中野洋昌国交相は「アッパーマウントが腐食して(ボルトが)分離しても、走行は可能であり、不安全な挙動がないことから、ただちにリコールを行う緊急性はない」と答弁しました。
堀川氏は、中野国交相が日産と同じ説明をするものの、実際には「走行できない」「走行は危険」と運転を止められたほど重大なトラブルだったと指摘。「改めて日産に調査報告の指示を」と再度、迫りました。中野国交相は「不具合情報を注視し、その確認を通して日産に必要な対応を行う」と答えました。
(しんぶん赤旗2025年4月24日付掲載)より抜粋
資料
議事録
堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。自動車のリコール制度と日産リーフの不具合について質問をしたいと思います。
この間、私の事務所に日産リーフの不具合について、ある相談が寄せられました。
資料の一を御覧いただきたいんですけれども、自動車のアッパーマウントという部分、これは車体の前輪部分にあり、タイヤの振動を吸収する緩衝装置をボルトで車体に固定をしています。このアッパーマウントに雨水などがたまる構造になっているため、この部分がさびてしまってボルトが外れてしまい、緩衝装置が脱落したというふうなことでした。
ある日、車の走行中に車体からドンという音がして、その後、カタカタとかゴトゴトという異音が続いた、ディーラーさんが休みのため、タイヤ量販店で見てもらうと、アッパーマウントがさびて抜け落ちている、これ以上の走行は危険だというふうに言われたそうです。このユーザーさんが困っているのは、その後の日産の対応で、なぜその車のアッパーマウントが抜け落ちたのかという原因が究明されないまま、修理もできないような状況にあるということです。
国交省は、自動車のリコール、不具合情報を集めておられます。その中で、寄せられている情報のうち、日産リーフに関して、このアッパーマウントにさびが発生し、腐食により緩衝装置が脱落したなどの不具合情報、何件寄せられているでしょうか。
鶴田政府参考人 お答え申し上げます。国土交通省では、自動車のリコール制度の適切な運用を図るために、自動車の不具合情報を一般のユーザーの方々から提供いただけるよう、不具合情報ホットラインを開設しています。
このうち、日産リーフの車両においてアッパーマウントにさびが発生、腐食したことによりフロントストラットが外れたという不具合情報の件数は、二〇一五年からの十年間で計十四件となっております。
堀川委員 ありがとうございます。資料二を御覧いただきたいんですけれども、今質問した件数、国交省のリコール、不具合情報に寄せられた情報のサイトから一覧にしたものです。私の事務所の調べでも十四件というふうになっています。
続いて、資料三を見ていただきたいんですけれども、リコール制度の概要を示した資料になっています。この右上の図にもあるように、この楕円で囲んでいる部分、不具合情報が寄せられると、国交省はメーカーに対して調査、報告の指示を出して、メーカーは調査、検討をし、報告することになっています。
この仕組みの法的根拠を伺いたいということと、また、例示で結構なんですけれども、メーカーから報告が上げられている件数、何件あるでしょうか。
鶴田政府参考人 国土交通省では、リコール制度における適切かつ迅速な改善措置の実施や不正行為の防止を図るために、道路運送車両法第六十三条の四第一項に基づきまして、自動車メーカーに対して、市場での車両の不具合情報を収集、分析して、その結果を国土交通省に報告するよう指示を行っております。
もう一点、御質問のありました、これに基づく不具合情報の件数ですけれども、令和五年度では一年間で九千四百三十八件になります。
堀川委員 この緩衝装置の締結部分の不具合によってリコールされた例が過去にあります。二〇一七年の一月にSUBARUがリコールを出したレガシィという車種です。
このレガシィがリコールを出された理由、国交省はどう把握されているでしょうか。
鶴田政府参考人 リコール制度は、設計、製造過程に問題があったために、安全・環境基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある、こういった自動車につきまして、メーカーが国土交通省に届出を行った上で改修を行うという制度でございます。国土交通省では、この制度を確実に運用することで、自動車の安全確保を図っております。
今御指摘のありましたSUBARUレガシィに関しましては、走行安全性に影響はないものの、三百件以上不具合が発生したということから、ユーザーの不安を解消するために自動車メーカーが自主的にリコールを届け出たものでございます。
堀川委員 今、はっきり答弁がなかったように思うんですけれども、このレガシィがリコールに至った理由です。
資料四でそのことをお示ししているんですけれども、この赤線を引いている部分です。「フロントストラットにおいて、」緩衝装置のところですね、「ストラット上端取付け部の締結緩み評価が不充分なため、縁石乗り上げなどの衝撃で取付けナットが弛むことがある。そのため、そのまま使用を続けると、当該取付け部にガタが生じて損傷し、異音が発生するおそれがある。」ということでリコールに至ったということです。
最初にも紹介したんですけれども、日産リーフは、雨水がフロント部分のこのアッパーマウントに流れて、水がたまるというふうな構造になっているんですね。日産は、水がたまる構造であることは認めているんですけれども、蒸発によって常に水がたまっているわけではないと説明をしています。ただ、日産リーフの場合は、かなり奥まったところにこのアッパーマウントがあるというふうな状況です。
ただ、いずれにせよ、この構造によってアッパーマウントにさびが発生し、緩衝装置であるフロントストラットの脱落に結びついている可能性は否定できないというふうに思います。
資料二で示した不具合情報に基づいて、国交省は、その構造、装置又は性能が保安基準に適合していないおそれがあるか否かの確認、これをやるべきだと思うんですけれども、日産に対して調査、報告を指示することを検討していただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
中野国務大臣 堀川委員にお答えを申し上げます。国土交通省は、適切なリコール制度の運用のために、自動車ユーザーから寄せられる不具合情報などを基に、自動車メーカーに対して必要な調査、報告を指示するなどの対応を行っているところでございます。
委員御指摘の事案につきましても、ほかの事案と同様に、道路運送車両法に基づきまして、日産自動車に対して必要な調査、報告を求めるとともに、技術的な検証を行うなどの対応を取ってきたところでございます。
その結果、アッパーマウントが腐食して分離をしても、がたつきは生じるものの走行することは可能であり、急加速、急旋回等を行っても不安全な挙動がないことから、現時点において直ちにリコールを行う緊急性はないと考えていますが、引き続き、同種事案による不具合情報等を収集し、必要に応じ適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
国土交通省としましては、本件を含め、リコール制度を適切に運用し、道路運送車両の安全な運行の確保に努めてまいりたいと考えております。
堀川委員 その同じような説明をユーザーさんも受けているわけなんですけれども、走行することは可能だという日産の説明なんですが、走行することができなくなっているという不具合情報がたくさん、十四件、国交省に寄せられているわけなんですよね。
車の量販店からは、これ以上走行することは危険ですというふうにも言われているわけです。一般的な対応でいいのかということが問われているというふうに思うんです。さらに、相談者のユーザーさんがSNSで発信すると、同様の経験をしたというふうな情報が数件寄せられているそうなんです。
改めて日産に対して、調査、報告の指示、御検討いただきたいですし、適切に指導をしていただきたいんですけれども、大臣、改めて答弁をお願いします。
中野国務大臣 先ほどSUBARUレガシィの件について自動車局長からも答弁をさせていただきましたが、レガシィのときは走行安定性に影響はないけれども、三百件以上不具合が発生をして、ユーザーの不安を解消するために自動車メーカーが自主的にリコールを届け出たということがございました。
今回の日産リーフの件については、先ほど私、技術的な検証については説明をさせていただきましたが、いずれにしても、自動車ユーザーから寄せられる不具合情報などを注視をさせていただきます。その内容の確認を通して、日産自動車に対して必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。
堀川委員 この不具合の件で、もう既に新車に買い換えたというふうな方もいらっしゃいます。適切に指導をしていただきたいことを改めて申し上げまして、質問を終わります。