国会質問

第217通常国会(2025年)

消費税5%へ減税、インボイス廃止を―「二重の負担増」告発


 所得税法等改定案が14日、衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の堀川あきこ議員は、食料品が軒並み値上がりするなか「食費が増えれば消費税も増える二重の負担増が生活を苦しめている」とし、すべての人が減税となる消費税の5%への緊急減税を迫りました。

 堀川氏は、石破茂首相が自著で「格差が大きいと、消費税はその逆進性が顕在化する」と指摘し「低所得者に厳しい制度」と言及し、石破氏が「消費税を考え直す必要がある」と述べているとし、「今こそ消費税の廃止をめざし考え直す議論をするときだ」と迫りました。石破首相は「社会保障給付の『受益』は低所得者ほど厚い」などと強弁し、消費税の廃止を拒否。堀川氏は、税制に求められる応能負担と生計費非課税の原則に逆行していると厳しく批判しました。

 堀川氏は「税制でただすべきは大企業優遇の不公平税制だ」として、4回もの法人税率の大幅引き下げや租税特別措置で大企業は空前の利益を上げたと指摘。研究開発減税など一部の大企業を優遇する不公正税制の廃止を求めました。

 堀川氏は「税金の使い道は、支援を必要としている人々を優先すべきだ」と主張。自公政権による介護報酬引き下げにより訪問介護事業所が一つもない自治体が増えている実態を告発し、「国の責任で訪問介護報酬を元に戻し、抜本的支援をすべきだ」と要求しました。

 さらに、堀川氏は、国民の暮らし優先に25年度予算案を抜本的に組み替えるよう求めました。

(しんぶん赤旗2025年2月15日付掲載)より抜粋

議事録

堀川あきこ議員 私は、日本共産党を代表して、所得税法等改正案について質問します。(拍手)

今、政治に求められているのは、物価高騰から国民の暮らしを守ることです。毎日の暮らしに欠かせない食料品が軒並み値上げです。お米の値段は高止まりし、キャベツや白菜などの野菜も昨年の二倍以上に跳ね上がっています。エンゲル係数が四十三年ぶりの高水準、三〇%に迫る事態となっています。とりわけ低所得世帯は深刻です。食費が増えれば消費税も増える、二重の負担増が生活を苦しめています。

石破総理は、御自身の著書で、国民の経済格差が拡大する下で、格差が大きいと消費税はその逆進性が顕在化しますと指摘し、食べ物のように生活のためにどうしても必要な費用は富裕層でも低所得者層でも似たような出費になり、そこに同じように消費税がかかる、一千万円ある人の五万円と五十万円しかない人の五万円は全く価値が違うのに同額の税負担になってしまうと述べ、低所得者に厳しい制度と言及されています。

総理は、消費税を考え直す必要があるとも述べていますが、今こそ消費税の廃止を目指し考え直す議論をするときではありませんか。答弁を求めます。

税制に求められるのは、負担能力に応じて税金を負担し、毎日の生活のための最低限の費用には課税をしない、応能負担と生計費非課税の原則です。

それに逆行する税制を進めてきたのが自公政権です。

消費税の増税で、課税最低限以下の収入世帯では、所得税の負担はゼロなのに、消費税が八%、一〇%へと上がるたびに消費税の負担が重くのしかかってきました。家計調査によれば、年収二百万円の世帯では、所得税の十倍の消費税を負担しています。とても能力に応じた税負担とは言えません。消費税の負担を含めた税負担率で見れば、既に累進性は崩壊しています。答弁を求めます。

三十年間据え置かれてきた課税最低限は引き上げるべきです。

政府の減税案では、低所得者の減税額は僅か年五千円にすぎません。恩恵を受けない低所得者が三千万人以上に上ります。低所得者にも全ての人にも減税となるのは、消費税の引下げです。緊急に五%に減税することこそ、物価高対策としても、中小企業支援としても、最も効果的な減税ではありませんか。

インボイス制度の下で生活を脅かされ、廃業を迫られている多くのフリーランスや小規模事業者の声に応え、インボイスの廃止を求めます。

大企業や富裕層への行き過ぎた減税を元に戻すとともに、所得一億円を超えると証券優遇税制で所得税の負担が逆に下がる、一億円の壁を取り払うべきです。

税制全体のゆがみを正す抜本改革で財源を確保すべきです。

さらに、税制で正すべきは、大企業優遇の不公平税制です。安倍政権は、四回も法人税率を大幅に引き下げただけでなく、租税特別措置で更に大企業の税負担をとことん減らしてきました。その結果、大企業は空前の利益を上げ、内部留保も最大規模の五百三十九兆円に上っています。

優遇税制の典型が研究開発減税です。研究開発の名目で減税された税金は、二三年度、九千億円を超えています。対象となった企業が研究予算を減らしたにもかかわらずです。まさに法人税負担を減らすだけの優遇税制です。しかも、最も恩恵を受けたトヨタ自動車一社だけで減税額全体の一割もの恩恵を受けています。一部の大企業を優遇する不公平税制は、廃止すべきではありませんか。

企業版ふるさと納税は、企業が自治体に寄附をした金額の九割が戻ってくる上、寄附した自治体から事業を受注するなどの経済的見返りを期待する制度となっています。石破総理も、問題があると指摘されましたが、きっぱり廃止すべきではありませんか。

最後に、税金の使い道は、支援を必要としている人々を最優先すべきです。

高額療養費の見直しについて、石破総理は、一番苦しんでいる方々の声を聞かずに、このような制度を決めていいとは思わないと答弁しました。ならば、直ちに高額医療費見直しの撤回を表明すべきです。

自公政権による二〇二四年四月の介護報酬引下げ後、高齢者の在宅介護を支える訪問介護事業所が一つもない自治体が昨年末時点で全国百七町村に及び、この半年間で新たに十町村が事業所ゼロとなっています。介護崩壊ではありませんか。総理、国の責任で、訪問介護報酬を元へ戻し、抜本的支援をすべきです。

二〇二五年度予算案は、年金、介護、医療などの社会保障、高等教育などの教育予算、農業などの暮らしの予算は、どれも物価上昇に追いつかない、実質マイナス予算です。異常に突出した軍事費を削減をして、大企業や富裕層に応分の負担を求めることで財源を確保し、国民の暮らし最優先に抜本的に組み替えることを求め、質問を終わります。(拍手)


〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

内閣総理大臣(石破茂君) 堀川あきこ議員の御質問にお答えを申し上げます。

 消費税の廃止についてでございます。消費税につきましては、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加する中におきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源であると位置づけられておりますことから、政府として、これを廃止することは適当ではないと考えております。

 税制の在り方についてお尋ねをいただきました。個人所得課税の課税最低限について議論いたします際は、生計費だけではなくて、公的サービスを賄う費用を広く分かち合う必要性などを総合的に考える必要がある、このように考えております。

 消費税につきましては、消費を多く行う消費者ほど担税力があるものとして、より多くの消費税を負担いただく仕組みとなっております。消費税財源が充当される社会保障給付などによる受益は、低所得者ほど手厚く、所得の再分配につながる面もありますことから、負担面だけではなく、受益面と併せて評価すべきもの、このように考えております。なお、受益はかぎ括弧をつけております。

 課税最低限の引上げと消費税減税についてお尋ねをいただきました。

 給与所得者の課税最低限につきましては、所得税の基礎控除の額などが定額でありますことにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題に対応しますため、最後の基礎控除の引上げ以降の物価動向などを勘案し、基礎控除の額などを引き上げ、百二十三万円とすることとしております。

 消費税につきましては、先ほど申し上げましたとおり、政府として、その引下げを行うことは適当ではないと考えておりますが、物価高対策という観点からは、賃上げこそ成長戦略の要との認識の下、物価上昇を上回る、物価上昇に負けない賃上げを起点といたしまして、国民の皆様方の所得と経済全体の生産性の向上を図りますため、成長力を強化する施策などを講じていくことといたしております。  インボイス制度についてでございますが、複数税率の下で課税の適正性を確保するためにこれは必要な制度でございまして、廃止することは考えておりません。インボイス制度に対する御不安、御懸念、これを抱かれる方もいらっしゃると思っておりまして、事業者からの相談に引き続き丁寧、誠実に対応いたしてまいります。

 所得税や法人税の在り方についてでございますが、所得税について、金融所得課税の検討に当たりましては、税負担の公平性の確保が重要であります一方、貯蓄から投資への流れを引き続き推進し、一般の投資家が投資しやすい環境を損なわないようにすることも重要でございまして、これらを総合的に考えていく必要がございます。

 法人税につきましては、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくという与党税制改正大綱で示されました考え方などを踏まえながら、不断の見直しを行っていく必要があるものと考えております。

 研究開発税制についてでございますが、研究開発税制は、大企業、中小企業にかかわらず、将来の経済成長の礎となる企業の研究開発投資を後押しするものでございます。企業規模の大きな大企業の適用金額は大きいものの、適用件数で見ますれば、令和五年度の合計一万七千件のうち、中小企業の利用は約七〇%になっておりまして、大企業だけではなく、幅広い企業に御利用いただいておるものでございます。

 本税制を活用して、我が国全体の研究開発投資が進んでいくことを期待をいたしております。

 企業版ふるさと納税についてでございますが、企業版ふるさと納税につきましては、自治体が寄附企業に対して、寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与することを禁止をいたしております。  地方創生二・〇の実現には民の力を生かすことが必要でございまして、本税制を通じました企業による地方への資金の流れの実現は重要であると考えております。  御指摘のような御懸念が生じることがありませんよう、令和七年度税制改正におきまして、一者応札で寄附企業などが受注した場合の国への報告と企業名の公表を義務づけるなど、制度の改善を図ることといたしております。  高額療養費制度の見直しについてでございます。

 高齢化の進展や高額薬剤の急速な普及などによりまして、高額療養費の総額が医療費全体の倍のスピードで伸びております中で、現役世代を中心に保険料負担が大きな課題となっておりますことを踏まえ、今回の見直しを提案したところでございます。

 日本が世界に誇るべき医療保険制度の大切なセーフティーネットであります高額療養費制度を将来にわたって堅持しつつ、保険料負担の抑制につなげることが必要でございます。その上で、さらに、当事者の方々のお声も真摯に受け止めつつ、可能な限り幅広い合意形成が図られますよう、提案の修正も含めまして対応をいたしてまいります。

 訪問介護についてでございます。高齢者になられましても住み慣れた地域でできる限り暮らしていただけますよう、在宅介護サービス基盤の整備を行うことは重要な課題でございます。御指摘のとおりであります。

 訪問介護につきましては、令和六年度の介護報酬改定の影響の丁寧な把握に努めますとともに、処遇改善加算の更なる取得促進、先般の補正予算によります、地域の特性や事業所の規模などに応じたきめ細かい対策を着実に進めてまいります。

 御指摘の町村を含め、訪問介護事業所が閉鎖されました場合には、近隣市町村の事業所などによる広域的な介護事業のサービス提供が行われておりまして、介護崩壊という御指摘は当たらないものと考えております。 以上でございます。(拍手)