国会質問

第217通常国会(2025年)

被災者の住み慣れた土地で生活再建、液状化対策を


 日本共産党の堀川あきこ議員は22日の衆院東日本大震災復興・防災・災害対策特別委員会で、被災者が所有する土地を活用した応急仮設住宅や災害復興公営住宅の建設を進め、将来的には入居者に払い下げることも含め、元住んでいた地域での生活再建を支援するよう求めました。

 坂井学防災担当相は、住み慣れた土地で生活再建を実現したいとの被災者の声に耳を傾け、必要な住まいを提供することは「重要」だとして、自治体と連携し取り組んでいくと答弁しました。

 地震で宅地が液状化した被災者にとって、被災住宅の補修に加え地盤の液状化対策は不可欠ですが、排水ポンプの維持・管理費など住民の負担への支援が欠かせません。堀川氏は、富山県高岡市での住民説明会の例を紹介。「年金生活者には厳しい」「住宅の補修に多額の支出がある」「同じ地区でも被害のない人もいる」など住民負担に対する多くの不安の声をふまえた被災者の負担のあり方をただしました。国交省の服部卓也審議官は、住民の負担を含め地域の合意形成を図るため自治体の液状化対策を支援すると答弁しました。

(しんぶん赤旗2025年4月25日付掲載)より抜粋

議事録

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。まず最初に、被災者の土地を活用した被災者の住まいの確保についてお聞きをしていきたいと思います。

 石川県の輪島市が、能登半島地震の被災者の所有する土地を活用をして、木造の戸建て型の災害公営住宅を建設するという方針が報道をされています。被災者は、無償で土地を提供して、家賃を払って十年間入居をすると、その後は、その家を時価で購入をして、土地は無償で返還されるというふうなことで報道では聞いています。輪島市の坂口市長は、住み慣れた地域を離れたくない住民に対する提供の在り方だというふうにコメントをされています。

 三月に、私、災害公営住宅の在り方について質問させていただいたんですけれども、元々まとまった土地が確保しにくいとされている能登では、このやり方は極めて有効な在り方だというふうに思うんですね。

 この制度の概要について説明をお願いしたいということと、また、こうした災害公営住宅の意義について政府はどのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。


横山政府参考人 お答えいたします。能登半島地震の被災者への意向調査を踏まえまして、被災地全体では約三千戸、委員が御言及されました輪島市におきましては一千戸から一千五百戸程度の災害公営住宅が必要と推定されているところでございます。

 輪島市においては、被災者の多様なニーズへの対応、早期の整備や効率的な管理といった観点から、従来からの市街地の便利な土地で集合住宅を整備する、あるいは農地等を活用して木造戸建てを整備する、そして、委員御指摘がございました、被災者から寄附されたある程度まとまった宅地に戸建て型の住宅を整備して、一定期間運用後、入居者に譲渡するという手法、これらも含めまして様々な手法を検討しているものと承知してございます。

 このうち、被災者から寄附された宅地に戸建て型の住宅を整備する手法は、公費解体後の宅地の活用あるいはコミュニティーの維持を図る観点から有効な手法であると考えてございます。

 一方、このような分散型の公営住宅については、自治体の管理の負担が大きい面もございますので、市においては、この効率的な管理の方法や体制についても併せて検討していると承知しているところでございます。

 引き続き、被災者の御希望や御事情を踏まえた被災自治体の意向を丁寧に伺いながら、各地域のニーズに合った災害公営住宅の整備が円滑に進められるよう、国交省としても支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。


堀川委員 コミュニティーの再生という意味でも大変有意義だというふうな答弁だったと思います。是非、維持管理に課題があるというふうなことでしたけれども、被災者の方のニーズや被災自治体の声を聞いていただいて、国からも柔軟な支援をお願いをしたいと思います。

 これは能登だけではなくて、今年二月の岩手県大船渡市の被災地、三陸町の綾里地区でも、被災跡地への公営住宅、応急仮設住宅の建設も地域の方々が要望を出されております。

 災害公営住宅だけではなくて応急仮設住宅についても、被災者の所有する土地を活用をして戸建ての木造仮設住宅を建てることは可能だというふうに思いますが、これは内閣府の方、いかがでしょうか。


高橋政府参考人 お答えをいたします。被災者の希望にできる限り沿った住まいを提供していくことは、大変重要な課題であります。

 能登半島地震では、能登から離れ、みなし仮設住宅等で生活する被災者の方がふるさとに回帰することを目的として、集落内の空き地等に戸建ての木造仮設住宅を整備し、入居期間終了後は市町営住宅に転用することを基本とする、いわゆるふるさと回帰型の木造仮設住宅を三十三戸建設されたものと承知をしております。

 また、大船渡の被災地におきましても、現在、木造仮設住宅四十戸の建設が進められているものと承知をしておりまして、内閣府からは、仮設住宅の供与期間終了後も被災者の恒久的な住まいとして有効活用することにつきまして、岩手県に対して助言等もしているところでございます。

 今後の災害におきましても、戸建てタイプの仮設住宅の建設も含めまして、被災者の希望に寄り添って対応していけるよう、自治体と連携をしていきたいと考えております。


堀川委員 ありがとうございます。  最後、ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、やはり、被災者にとって住み慣れた土地で仮設住宅や公営住宅で生活をするということは、その後の住宅再建のみならず、生活再建にとっても、コミュニティーを再生していく上でも重要だというふうに考えます。こうしたやり方を積極的に進める必要があるというふうに思うんですけれども、大臣の見解をお聞かせください。


坂井国務大臣 住み慣れた土地に戻って生活再建を実現したいという被災者の声、これにはできる限り耳を傾けるべきだと思っておりますし、また、その必要となる住まいを提供していくことも重要だと思います。

 仮設住宅を提供する際は、まずは被災自治体において被災された方々の今後の住まいに関するニーズを丁寧に把握し、その実現に努めていくことが重要だと思います。

 内閣府としては、機会を捉えてこうした点を地方自治体とも共有し、発災後に被災者のニーズに沿った仮設住宅を迅速に提供できるよう、自治体と連携の上、取り組んでまいります。


堀川委員 ありがとうございます。続いて、液状化対策について、特に被災者の負担のことについてお聞きをしたいと思います。

 済みません、ちょっと時間の関係で質問をまとめさせていただきたいんですけれども、能登半島地震における宅地の液状化被害の状況についての概要を教えていただきたいのと、能登の地震から一年四か月になろうとしているわけなんですけれども、液状化対策の現状、どこまで来ているのかも併せてお答えいただきたいと思います。


服部政府参考人 まず、能登半島地震における宅地の液状化被害についてお答えをいたします。  宅地の液状化被害につきまして国土交通省で概略的に被災件数を推定したところ、石川県において約五千件、富山県において約二千件、新潟県において約一万件、福井県において約百件の宅地被害があったところでございます。

 次に、能登半島地震から一年四か月経過した今の液状化対策の進捗の状況でございます。能登半島地震により発生した液状化被害からの早期の復興に向け、国土交通省では、被災自治体による液状化災害の再発防止に向けた対策等の検討について、直轄調査や本省職員を地区担当として被災自治体ごとに配置することにより、技術的な支援を行っているところでございます。

 これらの支援等により、被災自治体において令和七年三月までに液状化対策を含む復興計画が策定をされたところでございます。今後、被災自治体において、住民説明会や実証実験を通じて地元の合意形成を図りつつ、順次、液状化対策事業が開始をされる見込みでございます。

 国土交通省としては、被災した方々が安全に安心して住み続けられるよう、自治体が実施する液状化対策への支援にしっかりと取り組んでまいります。


堀川委員 富山県の高岡市が、地下水位低下工法の住民説明会を開催されています。ただ、住民の間には、排水ポンプの維持管理の負担について不安の声が広がっているようです。高齢で年金生活者には負担が厳しいとか、被災した住宅を直せる人は住宅の補修に多額の支出をもう既にしているとか、あるいは、同じ地区でも被害のない人に負担を求めるのは言いにくいというふうな、こういった声が寄せられています。

 液状化対策は、一定の地域がまとまって面的に対策する必要があり、そのためにも被災地住民の合意が肝腎となる事業だというふうに思います。ただ、自治体の財政状況によって住民負担に差が生まれている現状、これはやはり是正していくべきだというふうに思いますし、被災者の負担というのは軽減されるべきだというふうに思います。

 これまでの災害での液状化対策の事例も含めて、被災者の負担の在り方について政府の見解をお聞かせください。


服部政府参考人 お答えいたします。公共施設と宅地の一体的な液状化対策に要する費用のうち、地方負担分に関する地域住民の方々の負担の在り方については、自治体において判断をされることとなります。過去の事例ですが、熊本市では地域住民の負担がない形で事業が実施されており、浦安市では地域住民が一部負担する形で事業が実施されたものと承知をしております。

 液状化対策の実施に当たっては、住民の負担を含め、地域の合意形成を図ることが重要だと考えておりまして、国土交通省としては、ほかの自治体の取組事例を共有するなど、自治体の液状化対策への支援にしっかりと取り組んでまいります。


堀川委員 浦安市の例がありましたけれども、住民の自己負担が大きいばかりになかなか進んでいないという現状もあるというふうに認識をしています。  この被災者の負担軽減について引き続き取り上げていきたいと思いますが、今日は時間になりましたので、質問を終わります。