国会質問


日本共産党の堀川あきこ議員は2日の衆院国土交通委員会で、京都市など地元自治体や住民から懸念や反対の声があがっている北陸新幹線(敦賀―新大阪)延伸計画についてただしました。
堀川氏は、3月25日に開かれた自治体向けの説明会後も、京都府南丹市議会が工事着手を認めないとする決議を全会一致で採択していることや、京都市長も「(トンネル工事による地下水への影響など)四つの懸念は払しょくされない」と述べていることを紹介。「国交省等の説明が妥当なのか調べるためにボーリング調査の結果などの資料を提出すべきだ」とただしました。
中野洋昌国交相は、ルート公表前に行ったボーリング調査結果をルート公表前に公表することは「事業の円滑な遂行に支障を及ぼす」として、資料の提出を拒否。堀川氏は「計画の認可後に行うべきボーリング調査を認可前にするというルール違反をしておいて、資料を求めたら認可前だから出せないというのはご都合主義だ」と批判しました。
堀川氏は、地下鉄東西線工事による井戸の補償が290件に及ぶにもかかわらず、国交省などが説明会で補償件数をゼロとしていたことを示し「国交省は井戸の補償について確認したのか」と質問。国交省の五十嵐徹人鉄道局長は「確認は現状できていない」と答弁しました。堀川氏は確認を求めるとともに、必要な資料を出さない態度に「都合のいい情報は出して都合の悪い情報は隠すとのそしりはまぬがれない」と厳しく批判しました。
(しんぶん赤旗2025年4月8日付掲載)より抜粋
資料
議事録
堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。北陸新幹線の延伸計画についてお聞きをしていきたいと思います。
先日、三月二十五日に京都市内で自治体向けの説明会が開催をされました。非公開での開催ということでしたが、その後、二十八日、ルート上にある南丹市の市議会では、着工を認めないという決議が全会一致で上がっています。自然環境、景観破壊のおそれ、地下水への影響、巨額の地元負担金への懸念など、実に多くの重要な問題をはらんだルートであると考えるとした上で、地域住民及び本市議会の一定の理解を得られるまで、本市内の工事着手は認めないという内容です。
この二十五日の説明会に参加をしていた南丹市の西村市長は、概略を聞いただけで、影響が何%などと言われても分からないと。京都市の松井市長は、京都市から四つの懸念ということで、トンネル工事による地下水への影響など四つの懸念が示されていたわけなんですが、それが払拭されたとは思わないというふうに述べたということが京都新聞で報じられております。
そこで、国交省、鉄道・運輸機構の説明が妥当なのかを調べるために追加資料を要求したんですけれども、その提供が困難だというふうな回答でした。私が求めた資料は、一つは、東西線地下水位観測業務委託その八、観測業務その一からその八、総合解析報告書、これは地下鉄東西線工事の地下水への影響に関する資料です。
この提供困難だという理由を、国交省は、京都市作成の資料なので、情報提供の可否について国交省が最終判断を行うのは困難だ、京都市に問い合わせてほしいということだったんですね。そこで、私が事務所の方で京都市に問合せをしたところ、鉄道・運輸機構から入手してもらって結構というふうに確認をしています。国交省はなぜ資料を提供できないのでしょうか。
堀川委員 一部のみ、この資料のことですよね。しかし、この資料とそれ以外の資料に基づいて、国交省はある結論を出されていると思うんです。そのことを後ほど質問したいというふうに思うんですけれども、なぜその結論を出したのかということの資料を開示できないというのは、余りにもおかしいんじゃないかというふうに思います。
もう一つ提供が困難だとされた資料が、ボーリング調査に関する資料です。この資料は、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律、これにおける法人文書に該当し、開示請求があれば、鉄道・運輸機構は開示の義務があるはずです。これはなぜ提供が困難なのでしょうか。
中野国務大臣 お答え申し上げます。北陸新幹線敦賀―新大阪間につきましては、鉄道・運輸機構におきまして、令和五年度より、北陸新幹線事業推進調査の一環として、敦賀―新大阪間の全線でボーリング調査等を実施をしております。
その上で、鉄道・運輸機構において、ボーリング調査で得られた地質のデータも活用し、地下水への影響についての分析や駅施設の概略設計などの検討を進めておりまして、その検討結果について、沿線の自治体に情報提供をするとともに、公表をしているところでございます。
他方、ルートの公表前に行われるボーリングの調査につきましては、整備新幹線の他の線区におきましても、事業の円滑な遂行に支障を及ぼすことなどを考慮して、ルートを公表する前の段階では公表をしていないものでございます。また、公表するには地権者の同意も必要と考えております。したがって、現時点では、この公表については慎重に検討すべきと考えております。
堀川委員 提出できないとして、やり取りの中で、工事実施計画の認可前であるということをおっしゃっておられました。このボーリング調査は、通常、工事実施計画の認可が下りてからやるべきもののはずが、認可前にやるというルール違反をしておいて、資料を求めたら認可前だから提出できないというふうなことをおっしゃっているんですね。これは余りにも御都合主義じゃないかというふうに思うんです。
委員長、お諮りをお願いしたいんですけれども、この東西地下水位観測業務委託、観測業務総合解析報告書と、ボーリング調査の詳細な結果に関する資料を、当委員会に提出を求めたいと思います。取り計らいをお願いいたします。
井上委員長 理事会で協議いたします。
堀川委員 よろしくお願いします。続いて、京都市営地下鉄東西線の工事による井戸補償の件と地下水への影響に関して質問をいたします。
資料二について御説明をしたいと思うんですけれども、これは二十五日の京都市内の説明会で使用された資料ですが、京都の地下水の水量と水質への影響として、京都市営地下鉄東西線の施工事例が示されています。四角の囲みの中の三つ目の丸のところで、二条駅―太秦天神川駅間のシールド工事区間について、「周辺井戸への影響はほとんどなく、補償件数はゼロであった」というふうにされています。
しかし、我が党の市会議員団が改めて京都市に求めた資料によると、二条駅から御陵駅間の工事で井戸の補償件数が二百九十か所にも及ぶということが分かりました。その数字を駅区間ごとに資料に記載をしています。
二条―太秦天神川駅間の井戸の補償件数は確かにゼロなんですけれども、二条駅よりも東の路線工事では相当数の井戸の補償があったということ、これは当然説明されるべきだと思うんですが、この井戸の補償について国交省は確認していたのでしょうか。確認していたのであれば、なぜその記述がここにないのでしょうか。お答えください。
五十嵐政府参考人 お答えをいたします。委員から御指摘がありました井戸補償が発生した地下鉄東西線の蹴上駅―二条駅間の工事につきましては、京都市交通局作成の京都市高速鉄道東西線建設小史によれば、工区ごとにシールドトンネル工法又は開削トンネル工法のいずれかの工法が採用されており、二つの工法が併用されている区間でございます。
あわせて、京都市交通局に提供を受けた施工時の地下水位変動を示す資料から、蹴上駅―二条駅間において、開削区間を中心とした地下水位の変動が見受けられる一方、シールドトンネル区間を中心とした変動は見受けられないことから、シールドトンネル区間の地下水位の低下は、隣接する開削区間の影響が及んだことによるものと考えております。
また、同建設小史におきましては、京都市営地下鉄東西線の工事のうち、二条駅―太秦天神川駅間の工事については、シールドトンネル工法が採用され、補償件数はゼロであったという記載がされているところでございます。
これをもちまして、説明会では、括弧書きで、建設小史に書いている文言として出したものでございます。
それから、先生御指摘がありました井戸の補償件数につきましては、私ども、報道では承知しておりますが、報道が出た後も京都市交の方に確認を求めておりますが、現時点で京都市交からの御協力が得られていないものですから、私どもで、この数字等が正しいかどうかの確認は現状できておりません。以上でございます。
堀川委員 京都市交通局が出している資料です。きちんと確認をお願いいたします。
開削区間の地下水位低下の影響がシールド区間にも及んだというふうに結論づけたいんだと思いますけれども、それは京都市も同じ結論なのでしょうか。
五十嵐政府参考人 本件につきましては、京都市と突っ込んだ御議論をしたことがございませんので、現状で京都市がそのような認識であるかどうかは、お答えをできません。
堀川委員 京都市は、地下鉄東西線の工事による地下水の低下について、これは検証がなされていないので、はっきりした結論を持っていないはずなんですね。
資料の二つ目の丸について、このことについて先ほど答弁があった中身について、妥当かどうかを確かめるために私は資料要求をしたわけですが、それをまともな理由なく拒否をされました。
きちんとした情報を開示せずに、国交省の出した結論だけ信じろというのは、余りにも横暴だと言わなければなりません。自分たちにとって都合のいい情報は出して、都合の悪い情報は隠すというそしりは免れないというふうに思います。その姿勢を根本的に改めるべき。引き続き、この問題は取り上げていくことを予告しまして、質問を終わります。