国会質問

第216 臨時国会(2024年)

能登地震ふまえた災害対策―住宅再建、自治体など体制拡充を


 日本共産党の堀川あきこ議員は23日の衆院復興・災害特別委員会で、能登半島地震をふまえた災害対策のあり方についてただしました。

 堀川氏は「支援物資は届いているのに、配給する人員や避難所に配置する職員が不足したことが今回の地震でも起きた」として、被災者に迅速に支援が行きわたる現場の体制について質問。内閣府の高橋謙司政策統括官が、今回の補正予算で自治体の備蓄に対する交付金を創設したなどの答弁に終始したのに対し、被災地の自治体職員の体制を含めた議論を求めました。

 堀川氏は、住宅再建に最大200万円を支給する特例交付金制度と石川県の利子助成制度について質問。特例交付金制度の対象は約2万世帯あるが、1・5%の332件(住宅再建)しか活用されず、利子助成制度は対象3000世帯に申請がわずか32(実績28)にとどまっているとして、「この少なさについてどのようにみているか」とただしました。

 厚生労働省の吉田修審議官は、仮設住宅の被災者は「住宅再建の段階に至っていない」と答弁。堀川氏は、地元以外の業者の旅費などの「掛かり増し費用」に対する支援などを含めた「住宅再建に前向きになるフェーズ(局面)にもっていくための手だてが必要だ」と主張しました。

 堀川氏はまた、「住宅再建も先が見えず能登を離れていく子育て世帯も少なくない」など、能登半島地震被災者共同支援センターのアンケート内容を紹介し子ども就学支援、心のケア支援の拡充を求めました。

(しんぶん赤旗2024年12月25日付掲載)より抜粋

議事録

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。 復興・災害特別委員会では初質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、被災地の子供たちの就学状況や、その支援についてお尋ねをしたいと思います。  日本共産党の石川県委員会も参加をしております共同支援センターが行った被災者アンケートの中で、小学三年生の子供は地震後に一人で寝られない、夜トイレに行けない、地震後は一部屋で寝るようになった、またあるいは、仮設からの通学は車で送ることがある、娘は友人と遊ぶことがなくなってストレスがたまっている、こうした被災者の声が届けられています。

 臨時国会の開会日には、新日本婦人の会石川県本部の方々の省庁への要請の中にも、子供たち、子育て世帯への支援も含まれていました。

 震災によって、子供たちを取り巻く環境は大きく変化をしています。また、失業や休業などによって家計が急変をして、住宅再建も先が見えずに能登を離れていく子育て世帯も少なくありません。  こうした災害が起きたときに、国としてどのような支援があるのか。経済的支援と同時にソフト面での支援も重要だというふうに思いますが、能登で実施されているものはどのようなものがあるでしょうか。お願いします。


森(孝)政府参考人 お答えを申し上げます。能登半島地震により被災した児童生徒への支援についてのお尋ねでございますけれども、文部科学省では、今年一月の発災後より、市や町が被災によって経済的に就学が困難になった児童生徒に対して学用品費等を支援する就学援助への国庫補助でございますとか、高等教育の修学支援新制度を通じまして、災害等により家計が急変した場合も含め、低所得世帯の学生等を対象とした給付型奨学金、授業料減免等の実施、また、被災した児童生徒に対して心のケアを行うスクールカウンセラーの追加配置などの支援を行っているところでございます。

 今後とも、文部科学省といたしましては、被災自治体と丁寧にやり取りしながら、制度の周知そして活用の推進を図り、必要な支援に努めてまいりたいと存じます。


堀川委員 先ほどお答えになった就学援助への支援ですけれども、自治体によっては、国の支援が届く前に支払っている場合もあるというふうにお聞きをしています。恐らく、自治体間によって支援のスピードが異なるのではないかと思われます。必要な支援が確実に迅速に被災者に届くように、自治体とも密に連携を取りながら実施をしていただきたいというふうに思います。

 また、セーブ・ザ・チルドレンが行った被災地の子供たちへのアンケートの中には、自分たちの声や意見も政策に反映させてほしいという声もありました。是非こうした声も受け止めていただきたいというふうに思います。

 続いての質問に移りたいと思います。みなし福祉避難所の災害救助法の適用に関わってお聞きをしたいと思います。特別養護老人ホームなどの介護施設は、この間、みなし福祉避難所として定員以上の利用者を受け入れてきました。しかし、県から早期の解消が求められ、その一方では、県外避難者を県内に戻すための受入れも要請をされている。でも定員以上の受入れは認められないというふうなことで、一体どうしたらいいんだという状況が広がっています。

 そもそも、奥能登の介護施設は、再開のめどがなかなか立たない、あるいは、施設は復旧しても職員が戻ってこれなくて、元どおりの入所者の受入れが困難だという事業者がたくさんあります。こうした実態がある下で、まず何よりも入所者の生活の安定に何が必要かを示すのが必要だと思いますが、みなし福祉避難所の解消ありきで進めるべきではないということ。

 また、災害救助法の福祉分野の適用は一月ごとの協議となっているようですけれども、入所者の安心を考えたときに、一定期間の継続とするべきではないでしょうか。あわせて、みなし福祉避難所に避難された利用者の食事代や居住費は免除されていますが、今お話ししたような、戻ろうにも戻れないというふうな事情がある中で、入居希望を出すとその利用料免除の対象外となるような対応というのは改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。


高橋政府参考人 お答えをいたします。 能登半島地震では、高齢者等の要配慮者の方々につきまして、委員御指摘のように、県内外の高齢者施設等へ広域避難せざるを得なかった方々がいらっしゃることは承知しておるところでございます。こうした他の高齢者施設への避難、福祉避難所としての避難ということになりますので、これにつきましては、災害救助法の対象として御支援をしているところでございます。

 また、石川県におきましては、被災者の方それぞれ御事情がございます。被災地に帰還をされたいというような方、また、恒久的な受入れ施設に移りたいというような方、そうしたお一人お一人の御意向を踏まえまして、必要な施設等との調整を進められているものというふうに承知しておりますけれども、引き続き、石川県と連携しながら、被災者の皆様に寄り添って、要配慮者の方に対する支援を行っていきたいと考えております。


堀川委員 重要なのは、入所者の暮らしの安定だというふうに思います。是非、柔軟な対応を市町村と連携しながらお願いをしたいと重ねて申し上げたいというふうに思います。

 続いての質問です。住宅の再建支援についてお尋ねをしたいと思います。被災者生活再建支援法による支援金が最大三百万、奥能登六市町に限定をした福祉ニーズの高い被災者を支援するとして、住宅再建に最大二百万円を支給できるとした特例交付金制度がつくられました。その枠に当てはまらない部分は石川県の利子助成事業があるというふうに聞いております。

 この特例交付金の制度ですが、半壊以上の世帯の九割をカバーできるというものですが、しかし、実績は、対象がおよそ二万世帯に対して、住宅再建の活用では三百三十二件、約一・五%、そして石川県の利子助成事業については、対象がおよそ三千世帯のところ、申請が三十二件、実績が二十八件というふうに聞いております。この支給実績の少なさについて、どのように見ておられますでしょうか。


吉田政府参考人 お答え申し上げます。地域福祉推進支援臨時特例交付金につきましては、能登六市町の特性に鑑みて支給されているものでございますが、この支給実績でございますが、家財給付金が一万八百六十五件、自動車給付金が千八百二十一件、住宅再建給付金が三百三十二件となっているところでございます。

 この背景でございますけれども、住宅再建給付金の受給に当たりましては住宅補修や購入の契約書が必要であり、応急仮設住宅で生活される被災者の方等につきましては、現時点では住宅再建の段階に至っていないことなどが考えられるところでございます。

 この給付金の支給手続におきましては、被災者生活再建支援金の支給情報を活用しまして、一定の要件の下、被災者の方からの申請を求めず支給するといった取組も行っておりまして、今後とも、給付金が必要な方に適切かつ迅速に支給できるよう引き続き取り組んでまいります。


堀川委員 今なかなかそういう段階に至っていないというふうなお話があったかと思います。

 では、例えば、応急仮設住宅あるいは仮設住宅から出る時期になれば、住宅再建しようという方が増えるという状況に果たしてなってくるのかということが疑問なんです。

 先ほど御紹介した共同支援センターのアンケートからは、今から家を建てるお金も元気もない、先のことは考えられない、特に高齢の方の方が建て替えに後ろ向きの方が多い、そういう印象です。現役世代についても、収入源となる仕事にいつ戻れるのか、ここでまた家を建てて子供たちと一緒に暮らしていけるのか、見通しが持てない状況があるというふうに思います。

 こうした現状をどう住宅再建に前向きなフェーズに持っていくのかということが今問われているというふうに思うんです。この制度自体が使えないと言っているわけではないんです。もちろん、改善すべき問題、六市町に限定をするというところで公平性に問題があるということは、我が党も何度も指摘をしてきました。

 それ以外にも、例えば、住宅再建をためらう声の中に、県内の業者にも限りがある中で県外の業者に発注をする、そうしたときに、見積りを取ったときに、県外からになりますから、その分、大工さんの交通費や宿泊費などが余計にかかるわけなんです。そこの費用負担についての懸念ということもお聞きをしています。

 石川県では、宅内の水道の配管修繕工事を行った際に、地元の業者では限界がある、地元以外からの業者を手配していて、その際、かかり増しの費用、ガソリン代や宿泊代などの費用を県が補助をしています。こうしたきめ細かな支援を始めとして、住宅再建に前向きなフェーズに持っていくための手だてが必要ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。


坂井国務大臣 被災地の方々が一日でも早く元の日常を取り戻していただく上で、住宅の再建を進めることは大変重要でございます。

 そのためには、まず、被災した建物の公費解体を進めることが必要かと思います。公費解体は、現状、計画を上回るペースでは実施をされておりまして、このままのペースでいけば、十二月末の中間目標、一万二千棟解体という中間目標でございますが、これは達成する見込みとなっておりますが、解体撤去の更なる加速化に取り組んでまいりたいと思います。

 また、今後の住宅の再建の本格化に向けて、御指摘の地域福祉支援臨時交付金や石川県の自宅再建利子助成事業を始め、自宅の再建を希望される方がこういった支援事業など必要な支援策にしっかりアクセスができるよう、丁寧な情報提供を行ってまいりたいと思っております。

 また、石川県におきましては、持家の再建を希望する方が具体的なイメージを持っていただけるように、様々な住宅プランを取りまとめたプラン集を作成されていると承知しております。また、大手の住宅メーカーが、例えば一千五百万円程度若しくは二千万円程度でこういう形の家が建てられますよというチラシなども制作をしている、私もそのチラシを現地で見せていただきましたけれども、こういう状況になってきておりますから、こうした取組も相まって、住宅再建に向けた機運を高めてまいりたいと思っております。


堀川委員 住宅再建に前向きなフェーズに持っていくのかというところで、やはりまず、そもそものなりわいの問題、あるいは、先ほど提案をさせていただいたきめ細かな支援というものも必要だというふうに思います。是非、引き続き議論をしていただきたいというふうに思います。

 続いての質問です。能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方についてお尋ねをします。重要なテーマだと思います。今回、補正にも、キッチンカーやトイレカーなど、自治体備蓄への交付金、プッシュ型支援における物資の分散備蓄などが反映されました。こうしたものが、いざ災害が起きたときに迅速に被災者にその支援が行き渡る現場の体制というものが物すごく重要だというふうに思います。  支援物資は届いているのに、配給する人員や避難所に配置する職員が不足しているということが今回の能登半島地震でも起きていました。そういう現場の体制はどのように担保されているのでしょうか。


高橋政府参考人 お答えをいたします。能登半島地震の経験、教訓を踏まえた災害対応の在り方につきましては、中央防災会議の検討ワーキンググループで御議論を行っていただきまして、先月、報告書がまとめられたところでございます。

 災害応急対応や応援体制、また被災者支援の強化に向けた様々な取組についてお取りまとめいただいたところでございますけれども、自治体がこれらの取組を確実に実施できるように、例えば、避難所環境の改善に向けて、新地方創生交付金を活用した、避難所等の備蓄等の、資機材の備蓄の充実、また、キッチンカーとかトイレカー、トレーラーハウス等に係る登録制度の創設、また、自治体と連携いたしまして、ボランティアの養成研修などの研修機会の拡充などにつきまして、令和六年度補正予算で措置をさせていただいたところでございまして、こうした取組で、引き続き、現場の災害対応の備えの強化を促進してまいりたいと考えております。


堀川委員 すみません、あと一つだけ……


金子委員長 もう時間が経過しておりますので、御協力お願いします。


堀川委員 はい、分かりました。 市町村の体制、本当に厳しいものになっているというふうに思います。是非、自治体職員の体制の担保というところでも引き続き検討が必要かと思いますので、そのことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。